能登半島地震の発生から4週間。能登近海の漁業の復興について解説します。
定置網の中で大量のブリが…地震で大ダメージ

南波雅俊キャスター:
まず、石川県七尾市にある“能登島”最大の漁港と言われている鰀目(えのめ)漁港は、マダイやマダラなど富山湾の豊富な魚が主に定置網で水揚げされる場所です。ただ、この漁港も地盤沈下など被害があり、復旧工事がまさに進められている状況です。

鰀目漁港でこの時期の漁獲の中心は「寒ブリ」です。例えば、福井県・日向漁港の漁獲量は2023年の5倍です。
鰀目漁港の網の補修を行う鎌村実さんによると、鰀目漁港でも2023年12月からブリは豊漁で、「2024年は期待できる状況」だったといいますが、地震が来てしまいました。
本来1月4日に最初の水揚げを行う予定でしたが8日まで水揚げができず、定置網の中で大量のブリがぎゅうぎゅう詰めになって出荷できないほどに傷んでしまいました。
ブリは漁港の皆さんにとって非常に大きな収入源ですので、大打撃です。

鰀目漁港の漁師 木戸信裕さん
「ブリは一攫千金。日によって1度の水揚げで1000万円以上の売り上げになるときもある」
現在、漁は再開されていますが、100%ではありません。漁業の全面再開には様々な要因が必要になってきます。
例えば、製氷や冷凍施設の復旧が必要ですが、氷を作るための水道の復旧は4月以降になるのではないかとみられています。定置網の修復も必要ですが、道路が寸断されて潜水用具が置かれている場所に行けないそうです。
ホラン千秋キャスター:
今後、場所によっては地形や生態系が変わってしまうことも出てくるかもしれないとなると、漁師や地元のみなさんにとって命綱的なところが切れてしまうこともありますよね。
パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
経済との関係も忘れてはいけないと思うんですよ。ブランド力のある寒ブリなどは守る価値があると思うんですよ。
例えば海外でも、ワイン生産地で天災などが起きてもそれを守るべきだと投資できるので、必ず復興してもらいたいですよね。