見通せない再開 伝統の技継承に大きな課題

余門さんが伝統的な技法を学ぶため通っているのが、輪島漆芸技術研修所です。9人しかいない漆芸の人間国宝が講師を務め、日本の漆文化を次世代に伝えています。全国から集まった研修生37人が在籍していますが、地震後、再開の目途は立っていません

余門さんは、研修所の再開に備え地震で倒れた棚や、用具が散乱した教室を一つひとつ片づけてきました。

余門さん
「早く(再開)できればいいなと思うんですけど、上下水道とか復旧するのにすごく時間がかかると言っているので」

この研修所の所長で、人間国宝の小森邦衛さんはこう懸念を示します。

重要無形文化財保持者(人間国宝) 小森邦衛さん
「研修所は日本全国から集まってきますので、今の状態で住める場所があるのか。今、研修所に通っている子の半分以上が全壊のアパートに住んでいるわけですよ。その人たちが漆を諦めると言うのは、私にとっては非常に耐えられないこと」

さらに、市内ある輪島塗関連の事業所の9割が何らかの被害を受けている状況で、今後どう伝統の技を継承していくのかは大きな課題になると話します。

小森邦衛さん
工場を再建するのに1年くらいかかる。そこから作品が仕上がってくるには、1年半ないし2年くらい掛かってくる。その間、職人さんが耐えられるか。生徒たちは研修所を卒業した後も、職人に習いながら、修行をしていく時期が必要なわけですよね。その人たちをどうやって育てていくか」

こうした不安の解消に繋がるのでしょうか。政府がきょう、正式に決定した支援策には伝統産業の立て直しに向けて、道具や原材料の確保に必要な費用を最大1000万円補助することなどが盛り込まれました。

職人見習いの余門さん。困難な状況に立ちながらも「輪島塗の伝統」を受け継ぐ覚悟です。

余門さん
「またここで工房を作って始めようと、みんなで話しているので。いつになるかわからないけど、気持ちだけはあるので」