石川県輪島市の伝統工芸・輪島塗。職人を父に持ち、自らも職人を目指す余門美晴さん(23)は、朝市通りで起きた火災で父の工房を失いました。市内にある輪島塗関連の事業所は9割が何らかの被害を受けている状態で、伝統の技の継承も課題となっています。

「全部燃えてしまった…」 輪島塗工房が焼失、見習い女性の覚悟

およそ200棟が全焼した石川県輪島市の朝市通り。余門美晴さん(23)の自宅はこの一画にありました。

――車もご自宅の車ですか?
余門美晴さん

「これは自分が乗ってた車です」

あの日、炎が燃え広がる様子を、避難していた車のテレビで見たという余門さん。自宅の被害を確認したのは1月3日の事でした。

余門美晴さん
全部燃えてしまったので...考え出したらきりがないので...」

家だけでなく、家族の暮らしや思い出まで奪い去った火災。唯一、変わらない姿で残っていたのは「余門漆芸工房」と刻まれたこの表札でした。

余門さん
「半分が仕事場で、2階と奥が住むスペースになっていました。ここを買ったのがお父さんなので、ショックは大きかったと思います」

余門さんの父・晴彦さんは、国の重要無形文化財に指定されている伝統工芸「輪島塗」の塗師です

木製のお椀に漆を何度も塗り重ね、光沢と強度を引き出していきます。父親の技を間近で見てきた余門さんも自然と輪島塗の職人を目指すようになっていました。

余門さん
「(子どもの頃から)お手伝いをするのも楽しくて、好きだったんですよ、つくるのが。そこで自分もやろうって」