燃えている家を見ながら助けに行けなかった

また高橋さんは、妊娠中から子育てを学ぶ「両親学級」を開催しています。参加者は多方面で活躍する育児の先輩から実体験を聞いたり、栄養士や産婦人科医などから離乳食の作り方や産前産後の心身の変化などを教えてもらったりしています。

子育て世帯を応援する高橋さんですが、その裏には自身のつらい経験がありました。東京から富山に移住してまもなく最愛の子ども2人と母親を火事で亡くしたのです。5年前の2019年12月31日未明のことです。

ヨガ講師 高橋由紀さん:「燃えている家を見ながら、中に家族がいるのに、助けに行けないもどかしさとか、そういうものを抱えて過ごしていた」

高橋さんは夫と三女と同じ部屋で就寝していましたが、火事に気が付いた時には、長女と次女、母親は別の階にいて逃げ遅れたのです。何が起きたのか受け止められず、外に立ち尽くす中、夜が明けてきました。

ヨガ講師 高橋由紀さん:「夜が明けてきたときに(友人に)声をかけられて今日の夜うちに来ませんか?って言われてその時にはじめて、きょうの夜泊るところがないんだって気づいた。みんながここの家に集まって、私たちがすぐに生活できるように。布団だったりなんだったり用意してくれて」

悲しみに暮れる中、泊る場所や生活を支えてくれたのが、周りの知り合いや近所の人たちでした。

あれから4年と1か月、三女は5歳となりました。現在は、友人の自宅を借りて夫と三女と暮らしています。

ヨガ講師 高橋由紀さん:「本当に家族が立ち行かなくなるような経験で、そこで助けてもらった人の温かさとかありがたさとかっていうのを実感していたので、とにかくできることを探していこうっていう気持ちになるっていうか」

亡くなった子どもたちを忘れないでしっかりと生きていく…自分の受けた恩を必要な誰かに返す…そんな思いで高橋さんは過ごしてきました。