関係する会社への影響は深刻に
この間、ダイハツ車を販売している全国3万店では、事実上、ダイハツの新車が販売できない状態になっています。ある販売会社は、出荷がさらに遅れた場合に備えて手元資金を厚めに積むといった自衛策に奔走していると明かしました。
部品を納入するサプライヤーへの打撃も深刻です。帝国データバンクによれば、ダイハツと取引のある企業は全国8000社以上あります。ダイハツはサプライヤーへの補償を行う考えを示しており、その話し合いも始まっているようですが、2次下請け、3次下請けにまで補償が行われるのか、行われるにしても時間がどれだけかかるのか、依然不透明です。
生産停止が長引けば、顧客のダイハツ離れが進むだけに、生産再開したとしても、これまでと同じだけの納入額が確保できるか、不安が募ります。
ダイハツの事業は「軽」に絞り込みか
ダイハツの親会社であるトヨタ自動車の佐藤社長は16日、「ダイハツの経営体制を見直すべき」と明言しました。国交省が16日に、抜本的な改善を求める「是正命令」をダイハツに出したことを受けたもので、そうした経営改善策や再発防止策が生産再開の前提になった形です。
同時にトヨタの佐藤社長は、「身の丈を超えた負担がかかっていたのであれば、事業領域を定める必要がある」と述べて、ダイハツの事業を軽自動車に絞る方向で検討する考えも示しました。
2014年以降、ダイハツはトヨタの小型車戦略を、開発・生産の両面で担う存在でした。2022年度のダイハツの世界総生産台数は178万台。そのうち軽自動車は63万台に過ぎません。生産台数が半分以下になれば、企業の姿は全く違う形にならざるを得ません。
不正のツケはあまりにも大きく、ダイハツの存亡がかかっているだけでなく、トヨタグループのあり様にも変化をもたらしそうです。そして何より、「メイド・イン・ジャパン」というブランドを大きく傷つけるものとなりました。
播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)