死者約2万3000人、60万棟以上の建物が全壊・焼失すると想定される“首都直下地震”。今後30年以内に70%の確率で発生すると言われています。その時、私たちはどう行動すれば良いのでしょうか。

“首都直下地震”で100兆円に迫るような被害額を想定

南波雅俊キャスター:
首都直下地震が起きた際、実際にどのようなことが想定されるのか。そして、どのような備えが必要なのかまとめて見ていきます。

まず、首都直下地震の被害想定から見ていきます。震度7の地震が起きたと想定した場合、死者は最大で約2万3000人、建物の全壊・焼失は最大で約61万棟、要救助者は最大で約7万2000人が想定されています。被害額は約95.3兆円。100兆円に迫るような被害額も想定されているわけです。

そして、東京都が公開している「災害シナリオ」というものがあります。地震直後から起こりうる事態を具体的に時系列で示したものです。避難所の状況、インフラ・ライフラインをそれぞれ見ていきましょう。

まずは避難の状況から見ていきます。「自宅」で避難した場合と「避難所」で生活をした場合です。

「自宅」避難生活では…
発生直後:エレベーター停止、未固定の家具転倒
3日後~:ごみ回収されず悪臭、備蓄が枯渇し避難所へ
1週間後~:心身機能低下で体調を崩す
1か月後~:人手不足で自宅修繕×、体調を崩す人さらに増加

「避難所」避難生活では…
発生直後:避難者に加え帰宅困難者も殺到
3日後~:避難者が増加、物資不足等でストレス
1週間後~:高齢者など病状悪化、トラブル増加
1か月後~:自宅などに移動し避難者減少

ということが想定されます。

続いて、ライフラインについても見ていきましょう。

発生直後~
電力:広範囲で停電発生、計画停電の可能性
水道:断水発生、トイレ利用不可
ガス:安全装置が作動、広範囲で供給停止
通信:利用に支障(不通エリア拡大の可能性)

1週間後~
電力:停電が減少、計画停電の可能性
水道:断水が段階的に解消、集合住宅ではトイレ利用不可
ガス:安全確認終わらず一部供給停止が継続
通信:順次通信が回復(被害によっては長期間不通)

1か月後~
電力:多くの地域で供給再開
水道:断水は概ね解消、トイレ利用不可の場所も
ガス:多くの地域で供給再開
通信:順次通信が回復(被害によっては長期間不通)