気になる2024年の春闘、そして日銀の利上げはいつ?

――2023年の春闘では3.58%という高い賃上げ率が実現。2024年も大企業を中心に、昨年越えは見通せる状況になってきている?

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏:
大体3月15日ぐらいに集中回答日ということで、グラフがこの姿になるのがわかるのですが、2023年は労働組合の要求に対する満額回答だった。2024年は去年よりも高い要求を出してますから、満額回答であれば、ここの3.58%を少し抜く可能性も十分あるのじゃないかと思います。問題は中小企業の組合。3.23%と出していますが、連合に入ってないような中小企業、大企業は大体3割だとすると中小企業・中堅企業の7割。こちらのパーセンテージがとても3%には追いつかない。

――労働組合がない中小企業が3%賃上げできないと、3%の物価高を乗り切るための実質賃金はプラスにならないということか。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏:
ここは好循環の手前で価格転嫁が十分にできて、それその転嫁した部分を賃上げにすると、だけど転嫁した部分を賃上げに回しても、これマイナス幅が0になるだけで、実質のプラスにならないので、好循環は手前にもまだないっていうのが現状だと思いますね。

――それが例えば、2024年後半に実現するのかどうかという経済運営が必要?

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏:
私は日銀の利上げが4月ぐらいではないかと思いますし、マーケットもそう見ています。そうなると円高になり、物価上昇圧力が下がるので、物価の上昇自体が鈍化していく。決定会合の日程、3月15日が集中回答日でその直後である、3月の可能性もまだ捨てきれないのですが、満を持して4月ぐらいに日銀がマイナス金利を解除すると円高方向にいくので、年後半の物価上昇率が下がって、実質賃金が何とかゼロ、あるいはちょっと頭を出すような展開もあるのではないかなというふうに、わずかに期待しています。

――実質賃金プラスを目指す社会にどうやって移行できるのか。今年の大きな課題ですよね。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏:
好循環を実現するためには、日銀のこの(実質賃金プラス)の政策を含めながら、考えていかないといけないと思います。

(BS-TBS『Bizスクエア』 1月13日放送より)