国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は、被爆者援護法に基づき原爆によって犠牲となった人々を追悼し、平和に関する啓発活動を行う施設として、2003年、原爆資料館の隣に設置・オープンしました。

祈念館は、去年7月、開館20周年を迎えました。これを記念して行われるイベントなどについて高比良則安館長に話を聞きました。
豊崎なつきアナウンサー:
改めてどういう施設なのかを教えてください。

高比良則安 館長:
祈念館は、被爆者援護法に基づき設置された施設で国立の施設となります。施設は、原爆資料館に隣接して設置されており、地下1階と地下2階でつながっています。

祈念館の設置目的は、
(1)原爆死没者の追悼と平和祈念
(2)被爆体験記の収集と提供
(3)国際協力及び交流
となっていて、被爆地の広島と長崎に設置されています。

長崎では2003年の7月に開館して、これまでに約215万人以上の方に来館していただいております。
豊崎アナウンサー:
祈念館と言えば、8月の平和祈念式典で奉安される原爆死没者名簿を安置しているというイメージがありますが、この他にもたくさんの取り組みがありますよね?

高比良館長:
具体的な取り組みは
・原爆死没者の氏名、遺影登録
・被爆体験記の朗読活動
・海外原爆展の開催など
被爆の実相を後代へ伝えるとともに、世界中の方に伝える取り組みを行っています。

豊崎アナウンサー:
開館20周年を迎えた祈念館では、NBCと共催して1月20日(土)から「映像が語る原爆の記憶」という取り組みを進めます。

高比良館長:
NBCが1995年に制作した「爆死者を追う」という番組です。
三菱重工に勤めていた原圭三さん(当時70)が、原爆で死亡した三菱関係者の追跡調査を続けるものですが、番組ではその行動を追いかけるものです。

私は、この作品に感銘を受けて、知られざる先人の熱き想いに本当に頭が下がる思いをしました。
今回、こうした原爆をテーマにしたNBCの至宝ともいえる番組6作品を地下2階の交流ラウンジで上映します。
▼上映作品
「第十一医療隊」(1970年)
「われなお生きてあり」(1973年)
「もう碑は建たない」(1975年)
「原爆と車椅子」(1993年)
「爆死者を追う」(1995年)
「核時代と人間」(1995年)
日時 1月20日(土)~1月27日(土)11:00~16:30
※初日は13:30~15:00にトークイベントを開催
「爆死者を追う」「もう碑は建たない」の2作品のみ上映
豊崎アナ:
初日の20日(土)の午後1時半からはトークイベントもありますが、来館された方には、このイベントを通してどのようなことを感じてほしいですか?
高比良館長:
被爆者の平均年齢が85歳を超えており、近い将来に「被爆者が語れなくなる時代」が来ます。「被爆の継承」を進める上で、次世代に何を、どのように伝えていくか、考えていく必要があります。
今回の作品を見て、人間とは何か、人間の尊厳とは何か、を深く考えさせられました。被爆の原点を見据えた今回の作品はまさに次世代に残すべき映像だと思っています。
1月20日(土)のトークイベントでは、映像の制作現場から、普段聞くことのできない裏側もお話しいただくことになっています。入場無料です。