気持ちが「孤立」してしまったら、どう向き合えばいい?

ホラン千秋キャスター:
自衛隊・自治体の皆さんが支援を必要としている方に届けようと思っていても、物理的な要因などで、どうしても届けることができない背景があります。そうすると取り残されたような気持ちになってしまう人もいるかもしれません。そういった心の部分は、どういうふうに向き合えば良いでしょうか?

田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
いろいろな研究でわかっていることは、例えば孤立している状態、特にそれが劣悪な環境、例えば災害や戦争で、本当に孤立をしてしまったときに、もちろん社会支援が立ち上がってしっかりヘルプするということはもちろん大事なのですが、本人に何ができるか、ということです。

本当に誰もいなくなってしまって、自分が頑張らなきゃいけないというようなときに何ができるかというと、自分の頭の中で、もう1人の自分を味方にするというような研究があります。

例えば「もう駄目だ」という独り言を「今日の自分はこんなことをやって、それはすごく良かった」とか言い換える。当たり前に聞こえるかもしれませんが、実はどんな環境でも、自分を生き延ばすために重要なのは「独り言の調整」だというようなこともあります。

簡単にできますが、とても難しい。ただ、それだけのことで心の健康は保てて、希望すら持てることはあるので、難しいかもしれないですけど、自分がどれだけできたかということをちゃんと確認したり、「今日は片付けを少しやろう」「手を洗うことはいつもやれている、私はすごい」というように一生懸命、言葉を作るということは大事です。

井上キャスター:
「“自分”が頑張っている」という独り言ではなく、自分という主語を「名前」に変えて、ちょっと距離を置くと良いという話もありますね。

田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
主語が少ない日本語ですが、「京は頑張った」と言っただけで、誰かに褒められてるように感じるというような脳のシステムがあります。

なので「私は」というよりは、自分の名前を言って「〇〇はすごく頑張ってるよね、偉い偉い」というように褒めることも、実は脳の中ではとても良い影響が出るということがわかってます。