■「不審な動き」を察知していれば…


安倍氏が演説を始めたころ、容疑者が周囲を見回している様子について、「とても不審だ。かなり不審であり、男が近づいたところで誰かが止めるべきだった」とした。そこで、最初の銃声まで、警護員が犯人の不審な動きを察知できなかったことについて、どう思うかを訊いた。ボムベイス氏は「それが、大きな失敗だ」と指摘する。

米・民間警備会社 ボムベイスCEO
「もし、あと数秒早く介入できていれば、さまざまな方法で元総理の命を救うことができたと思うのです」「男が近づいてくるのを捜査員の誰か一人でも見ていれば、特に男が何かを取り出し始めたときに、元総理を引っ張って移動させていたかもしれない。さらに、後方にいた警護員が『バリア』の外側にいて、男に近づいていれば、銃を発射するのを妨害することができたのにそうしなかったのです」

■発砲直後の警護員の動きは?


1発目の発砲後の警護員の反応について、ボムベイス氏は「反応は比較的早かった。犯人を捕らえることができた」と評価しつつも「2発の発砲の間には、それほど時間はなかったが、私は、いまでも2発目を防ぐことができたと考えている」とした。

警護員には、2つの任務を遂行する必要があったとした。

米・民間警備会社 ボムベイスCEO
「ひとつは、元総理のところに向かい、命を救い、さらなる被害から守ること。もうひとつは、犯人を制圧し、次の脅威がないかを確認すること」

そのうえで、警護員たちが犯人に駆け寄ったときの問題点を指摘する。

米・民間警備会社 ボムベイスCEO
「男がさらに銃を発砲しないようにするだけでなく、他の脅威をもたらすかどうか確認する必要があります。例えば、爆発する可能性のあるベストを着用していないか。それに、忘れがちですが、犯人は一人ではないかもしれません」

これは、イラク戦争から学んだことだという。

米・民間警備会社 ボムベイスCEO
「『二次攻撃』と呼ばれるものがあり、私は生き延びたことがあります。私が陸軍士官としてイラクにいたとき、攻撃を受けました。そして、最初の救援隊が到着すると、また攻撃が仕掛けられたのです」

今回の警護に厳しい評価をする一方で、ボムベイス氏が高く評価した警護員がいる。1発目の銃声の直後、防弾盾を手に安倍氏を守ろうとした警護員だ。

米・民間警備会社 ボムベイスCEO
「盾で応戦したあの警護員は早かったと思います。彼はいい仕事をしました。元総理は生き残れなかったが、数秒のうちにその場にいました。私は彼を高く評価します。銃が発射される現場に身を置いて、よくやったと思います」