イギリスで数百人の郵便局長らが会計システムの欠陥により窃盗などの罪で訴追されたえん罪事件で、スナク首相は被害者らを救済するための新たな法律を導入すると明らかにしました。

この事件は、1999年から2015年にかけてイギリスの郵便局で窓口の現金と会計システム上の残高が一致しないことから、700人以上の郵便局長らが不正経理や窃盗などの罪で刑事訴追され、その後、会計システムの欠陥が原因だと判明したものです。

イギリス スナク首相
「これは、わが国史上最大のえん罪事件のひとつです。被害者は正義と補償を得なければならない」

スナク首相は10日、えん罪の被害者となった元郵便局長らを速やかに無罪とし、補償するための新たな法律を導入すると明らかにしました。

イギリスメディアによりますと、被害者の中にはシステムの欠陥だと知らず多額の弁済を行い、破産したケースや自殺した人もいるほか、欠陥の判明後に有罪判決を取り消されたのは一部にとどまっていて、補償も不十分だということです。

また、会計システム「ホライゾン」を提供した富士通を糾弾する声も高まっていて、16日の議会下院の委員会で富士通幹部が証言を要請されています。

富士通側は「郵便局長らの苦しみに対する自社の役割について謝罪してきた」としたうえで、「調査に全面的に協力する。現時点でこれ以上のコメントは差し控える」としています。

イギリスでは、年明けにこの事件を描いたテレビドラマが放送されたことから再び関心が高まっていました。