13日に投票が行われる台湾総統選。焦点の一つが「中国との関係」ですが、その中国本土で暮らす、20万人以上ともいわれる台湾出身の有権者も選挙で無視できない存在です。
投票日まであと3日。最終盤を迎え、ますます熱を帯びる台湾総統選挙。その選挙の行方を台湾の外から見つめる有権者がいます。
中国でIT関連の仕事をしている台湾出身の林さん(49)。20年以上、北京で暮らしています。
中国で働く「台商」 林さん
「中国はビジネス環境に恵まれているし、言葉や文化の面で台湾ととても近いです」
林さんのように海外でビジネスをする台湾の人は「台商」と呼ばれています。製造業、金融業を中心に、中国全土に少なくとも20万人はいるといわれ、総統選で「台商」票の行方は無視できない存在です。
台商の投票を促すため、中国にいる台湾の人たちの商工会、「台商協会」ではこんな取り組みも。
中国で働く「台商」 林さん
「台商協会が投票のために帰れるよう、普段より安い航空券を用意してくれます」
中国は台湾にとって最大の貿易相手国で、輸出のおよそ3割を占め、大きな存在感を放っています。そのため、「台商」の多くは中国との良好な関係を望む傾向が強く、中国に融和的な「国民党」を選ぶ人が多いといいます。
中国で働く「台商」 林さん
「まずは政治的な要因をわきに置き、経済を活性化させ、台湾中国双方の人々がお金を稼ぐ機会を増やすべきです」
しかし、中国でビジネスをしていることが、中国の政治介入を招くリスクになる可能性もあります。
実際、5年前には本土・湖南省長沙市の台商協会の会長が国民党候補に投票するよう、台商の人たちに依頼。その見返りとして、台湾に帰る飛行機代の補助を約束したことが選挙買収の罪に問われ、実刑判決を受けました。
林さんは、投票先は明言しなかったものの、台湾と中国の関係は安定的であって欲しいと願っています。
中国で働く「台商」 林さん
「(台湾の世論は)『統一』か『独立』かで二極化しているように見えます。それは私たち台湾の人たちの利益に合うものではありません」
次の総統に対する期待も。
中国で働く「台商」 林さん
「新たな総統は、中国とたくさんコミュニケーションを取り、双方が相手に抱いている不安を取り除いてほしいです」
現在、中国に厳しい姿勢をとる与党・民進党候補が、優勢を保っているといわれる総統選。「中台関係の安定化」を望む「台商」たちの声は、どこまで選挙戦に影響を与えるのでしょうか。
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