試行錯誤
毎月開催されて来た「カレーの日」の初回は8年前のことでした。当初、「寺はカレー屋になったのか?」と陰口をたたかれたこともあったそうです。しかし町の人口減少と檀家の都会への流出は止まらず、そもそも人が集い学び合うお寺で何かできないか…と続けた試行錯誤の核となるイベントが「カレーの日」でした。

帰厚院の住職、成田賢一さん(47歳)が行っている地域の活動はほかにもあります。例えば貸自転車です。岩内町はニセコエリアに隣接しているため、最近は外国人客が町内を散策したり、お寺にふらりと訪ねて来ることがあるそうです。そうした観光需要に貸自転車を無料で用意して、「ゆったり、町を見てほしい」と住民との交流を期待しています。

また学習塾が主催する「漢字・計算コンクール」の会場にお寺を提供して、子どもたちの学力向上にも一役買っています。


さらには、地域の人たちや街の出来事を町内外に事細かく伝えるため、「岩内サイクル新聞」と称するミニコミ誌を毎月発行しています。同誌は毎月3,000部印刷されて、学校や商店街、町内外の関係者らに配布され、今年の元日号で34号を迎えました。今回は「おめでとう!新成人」と題する特集で、成人式を迎える若者の抱負や町民らからのエールをアットホームなタッチで綴っています。このミニコミ紙は、一般社団法人日本地域情報振興協会(東京)が主催する「日本地域情報コンテンツ大賞2023」で紙媒体部門の3位にも選ばれ、全国にその活動が伝えられました。