大阪府が2024年4月から段階的に導入を始める、高校授業料”完全”無償化制度。授業料が”タダ”になるのなら、高校生の子どもを持つ保護者からすれば歓迎されるものですが、この制度には私立高校などから批判の声が相次いでいます。それでも突き進むのはなぜか。関係者への取材から見えてきたのは。

”完全”無償化は吉村知事肝入り

吉村知事(23年4月)

 大阪府では現在、国の就学支援金制度と組み合わせて、世帯年収590万円以下の世帯については60万円、世帯年収800万円以下は39.6万円まで高校の年間授業料を補助する制度が設けられています。府は、この世帯年収による制限を無くそうと、世帯800万円を超える世帯も対象にした”完全”無償化を実現するための制度設計を進めてきました。

 「完全無償化」は吉村洋文知事が知事選でも公約に掲げていた、肝入りの政策です。

(吉村洋文知事・2023年4月8日の街頭演説)
「大阪で生まれた子供たち、どんな家庭環境で生まれても、どんな家庭状況になったとしても、この学校で学びたいな、こっちの道に進みたいな、こっちで研究したいなと思えばその道が開けている社会を作りたいと思います。だから、大阪の子どもたち全員を対象にして私立高校も公立高校も授業料は完全無償化、全員が対象、これをやります」

 こうしたことなどを訴え、吉村知事は約243万票を得て当選しました。