自民党における“派閥”とは…
派閥の存在に疑問を呈する声も広がっているが、私は10数年前に直接取材した当時の自民党の派閥幹部の話を思い出した。
派閥幹部:
「派閥というのはね。自民党総裁=総理大臣を誕生させるために存在するものだよ。権力闘争を繰り広げるための基盤だよ」
自民、公明、立憲民主、維新、共産、国民など日本には数多の政党があるが、その中でも派閥が厳然として存在しているのは自民党だけだ。
2009年から12年まで、3年と3か月政権を担った民主党にも派閥と似た“グループ”という組織があった。党内きっての実力者である小沢一郎氏が率いる「小沢グループ」、鳩山由紀夫元総理のグループは「鳩山グループ」など複数のグループが存在したが、派閥とは決定的に異なる点があった。
それは民主党のグループは2つ以上のグループに所属することを許していたが、自民党の派閥は掛け持ちを許さない。

例えば安倍派、岸田派両方に所属することは許されない。簡単に言えば“二股禁止”ということだ。
このため大半の派閥は木曜の昼というほぼ同時刻に派閥総会や定例会を開き、一緒に弁当を食べながら情報を共有するという慣習が定着している。


唯一、自民党内で掛け持ちが許されている政策集団が谷垣グループ(有隣会)で、他派閥や無派閥の議員が参加することが可能だが、総裁選挙などでも幹部の間で対応が分かれることが多々あるなど結束力は乏しい。
