新たな反対論 信仰上の理由
方法論での議論が続く中で、新たな理由から登山鉄道への反対の声があがっています。
11月に開かれた富士山世界文化遺産協議会の作業部会で、出席した静岡県にある冨士浅間神社の宮司は登山鉄道構想について「冬の富士山に入らないというのが一番信仰にのっとっているというのが私見。県外の私が言うのも何ですが慎重に検討していただきたい」と発言。
また世界遺産の構成資産の1つ富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社の宮司はより踏み込んで”反対”を明言し、「くれぐれも神の怒りに触れないように」と県の担当者にクギをさしました。
富士山信仰の観点からの反対論は、富士山登山鉄道の重要なメリットに対する懸念でもあります。

現状の富士スバルラインは冬の期間は雪のため5合目まで通行することができません。
一方で鉄道は比較的雪に強いとされ、冬でも5合目まで登れるのではないか、つまり、富士山登山鉄道による”通年観光”の実現に期待の声があるのです。

”信仰の対象と芸術の源泉”として世界文化遺産登録された富士山にとって信仰を理由とした神社関係者からの反対論は、議論に新たな視点を投げかけました。
世界遺産登録から10年を迎えた富士山。
鉄道構想の是非の議論は年越しとなります。