「バーテンダーに到達点はない。未だに満足することはない」

バーカスクの多くのボトルやグラスはピカピカに磨かれ、店内は静謐さが漂い、素晴らしいカクテルの出番を約束してくれます。

(バーカスク・佐藤昭次郎さん)「バーはいつも清潔は空間を提供するのがあたり前です。ボトルを磨くことはそのお酒の名前を覚えることにもつながりますので、欠かしたことはありません。また、大声で話さない、浴びるほど飲まないことが流儀で、カウンター越しでも時には注意することも仕事の一つです。バーテンダーに到達点はなく、満足することはありません」

佐藤さんは未だに疑問を持ちながらカウンターにたちますが、 道を究めようとする姿勢は高い精神性を感じさせます。

師匠に通じた「必死の姿勢」

(佐藤昭次郎さん)「東京でバーテンダーになりたての頃、師匠がカウンターの中で両サイドに我々数人がいる中で、実際にカクテルを作るんですが、口頭でいろいろ教えてくれるわけではありません。料理人の世界と同じで、見て技術を盗めというわけです。ある日、師匠が一杯のカクテルを完成させようとしているときに、私は必死でレシピを覚えようとしていました。ある日、師匠が右側にいた私に見えやすいように体をひらいて作ってくれたんです。その時はすごくうれしくて、修業に身が入ったのは覚えています。バーテンダーになりたくて大分から上京して必死になっている姿勢がきっと伝わったのかと思います」

佐藤さんは微笑みを絶やさず、当時の思い出をなぞるようにグラスを優しく磨きあげながら淡々と話してくれました。そして大切に守っていることを語ってくれました。