■繰り返される政治家への襲撃
1992年、当時の金丸信・自民党副総裁が、右翼の男に銃撃されましたが無事でした。また1994年には細川護煕・元総理が、東京・新宿区のホテルで銃撃されましたが、けがなどはありませんでした。さらに2006年には、加藤紘一・自民党元幹事長の実家と事務所が、放火され全焼。その後、右翼団体の元幹部が逮捕されたのです。そして翌2007年には、選挙活動中だった伊藤一長・長崎市長が暴力団幹部に銃撃され、死亡する事件が起きました。このとき、総理の職にあったのが安倍氏でした。こうした卑劣な行為に対し、当時の安倍総理は・・・
安倍晋三総理(2007年当時)
「民主主義に対する挑戦であり断じて許すわけにはいかない。こうした暴力を断固として撲滅していかなければならない」にもかかわらず、今回またも繰り返された卑劣な暴力・・・。
■今回の事件で「五・一五事件」が浮かんだ・・・識者語る
今回の事件を、どう受けとめればいいのか。ノンフィクション作家の保阪正康さんは、1932年、海軍の青年将校たちが官邸で犬養毅総理を暗殺した五・一五事件が、最初に頭に浮かんだと言います。
「昭和7、8年頃はテロの横行した時代だった。(中略)テロが感染症のように広がり、人々にゆがんだ感覚を植え付ける。昭和史は、テロが流れを変えたと言える」
そして暴力を容認する空気が広がり、社会をゆがめていった時代を振り返り、こう語ったのです。「現在参議院選挙の最中で、与野党党首が「暴力は言語道断だ」と一斉に事件を非難している。(中略)もう一歩踏み込んでほしいと思う。批判を緩めると、どんな社会になるか、教訓を昭和史からくみ取ってほしい」
■世界でも民主主義の危機・・・日本は参議院選挙
今、図らずも世界各地で、過激なナショナリズムが台頭し、アメリカでは議会に暴徒が乱入するような事件が起きるなど、民主主義の危機が叫ばれています。
そうした中、日本の民主主義を大きく揺るがした今回の事件。7月10日は、その民主主義の根幹ともいえる参議院選挙の投票日です。
(「サンデーモーニング」2022年7月10日放送より)