「組織的不正は認められなかった」けれども…

 第三者委員会は、【不正は組織的ではなかった】と認定した。それは詳しく書くと、「管理職が現場レベルの不正行為を指示し、あるいは黙認したというような、ダイハツが組織的に不正行為を実行・継続したことを示唆する事実は認められなかった」という。要するに管理職は「現場任せ」で、指示も把握もしてないから”組織的な不正ではない”というのだ。

 こうした社内の状況について第三者委は、「現場と管理職の乖離が顕著にみられた本件問題の特徴」と言い表し、自己中心な風潮がある組織風土については、部署間の連携も不足していると言い表した。

 大規模不正を調査した結果、明るみに出たのは、「上司と部下の縦の関係」「部署間の横の関係」双方の脆弱性だった。「組織的ではない」と評した言葉の真意は、ダイハツ工業は「組織の体をなしていない」という、厳しい指摘の表れかもしれない。

 アンケートで明かされた従業員の声には、どこかで耳にしたような話もあった。「組織の体をなしていない」職場は、果たしてダイハツに限ったことだろうか。