今年の冬は?気温はジグザグ 日本と同じく寒暖差が大きい

スバールバル諸島の秋から最近までの気温変化をみると、ジグザグに推移していて、寒暖差がとても大きい特徴があります。平年よりも気温がかなり高い日がある一方で、平年を大きく下回る寒さの日もあります。日本も同じように、気温変化が目まぐるしい12月となっていますが、これは北半球の上空をぐるっと西から東へ吹く偏西風の蛇行という同じ要因です。
先に述べた2019年のトナカイの大量餓死のニュースに影響したシーズンの冬(2018年)は冬の降水量が平年の2倍ほどにもなった地点がありました。それに比べると、今年の冬は、現状、降水量は平年より少なくなっています。まだ冬は終わりませんが、今年に関しては2019年当時と同じようなことが起きつつあるとは考えにくいでしょう。
一方で、温暖化がプラス!?秋が暖かいとトナカイは太る
秋が暖かく冬の始まりが遅くなると、餌が豊富にある期間が長くなるため、トナカイの体重は増加することがわかってきています。秋にたくさん餌を食べることができたトナカイは、その後の冬に餌が枯渇しても健康状態は損なわれないという可能性も指摘されています。
トナカイとサンタクロースの未来は・・・
トナカイは、秋が暖かいと餌が豊富に食べられる一方、冬に大雨となれば餌をとれずに餓死につながるおそれがある…このどちらの影響が大きくなる将来が待っているのか、まだわからない部分です。また別の研究でわかってきていることは、トナカイは移動が可能な生き物なので、いつもの場所からは離れた餌の多い場所へ移動し、冬をしのいでいるということ。冬の間に餌がなくなったトナカイは、海岸付近で海藻や昆布を食べているというのです。
クリスマスにトナカイと行動を共にするサンタさんにとって、トナカイの未来は気がかりでしょう。冬はトナカイがやせ細ってしまっていたら、そのトナカイがひくソリにのるサンタクロースはダイエットをしなくてはならないかもしれません。プレゼントの量も減らさなくてはいけないでしょうか。私たちが街中で目にするクリスマスのデコレーションにおいて、沿岸で昆布を食べているトナカイが描かれる未来があるかもしれません。トナカイとサンタクロースのメイン活動期は、トナカイが太って元気な秋に移動されるなんていう未来もあるでしょうか。見守る必要がありそうです。
参考文献:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gcb.13435
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gcb.15458#
https://www.city.kushiro.lg.jp/zoo/shoukai/1001527/1001528/1001547.html
https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ecs2.1374
https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ecs2.2672