200頭を超えるトナカイの餓死
2019年、スバールバル諸島にて大量のトナカイの死体が発見されたというニュースがありました。これは、専門家によると気候変動が原因であるといわれています。直近の冬(2018年12月)に気温が高く、雪ではなく大雨が降ったことが一因です。
雨が降ると地面は水浸し…雨のあと冷え込むことで、地面が凍り、カチカチの氷の膜ができてしまうのです。トナカイは、冬の間は足で雪をかき分け地面付近の餌を探して食事をします。つまり、地面に氷の膜が張られてしまうと、餌を得ることが難しくなるのです。
こうして、冬に降る雨が、トナカイの餌を奪い、餓死あるいは健康状態を悪くし、死亡につながると考えられています。特に冬に健康状態が悪くなると、春の繁殖期にかなりのエネルギーを使って、その後、餓死してしまうことがあるようです。
北極域で進む温暖化 海氷が気温に影響も
ノルウェー極地研究所によると、スバールバル諸島は1899年から2020年まで 10 年あたり0.34℃上昇しているというデータがあります。これは、世界の同期間のおよそ3倍の数字です。
気温の上昇が北極海の海氷の減少をまねき、海氷の減少はまた気温上昇へも拍車をかけるという負の連鎖も心配です。海氷が夏の間に溶けて海が露出すると、海は太陽から受けた熱を蓄えます。その蓄えた熱が、また氷をとかすというつながりです。