インタビューに答える桃井希生さん 映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」より

 上映中、観客の反応が気になり、場内の後方で様子を見ていた。大杉さんや桃井さんを排除しようとする警察官の言葉や態度に対して、たびたび笑いが起きた。
「警察のやり方はまるでコメディですね」と感想を述べる人もいた。笑いは風刺であり、権力者への批評でもある。嬉しかった。

 ポレポレ東中野では初日と2日目で満席回がでたほか、平日もふだんより多くの人が観てくれているという。札幌のシアターキノでは初日から7日連続満員を記録した。上映後のサイン会で一人ひとりから感想を聞くと、受け止め方の多様さに驚く。

 警察の排除に恐怖を感じたり、正当性を主張する態度に憤ったりする人。排除された人を近くで見守りながらも止めることができず後悔する女性に共感する人。
警察がつくった「実演動画」に笑ったという人。警察に裁判を挑む若者たちに希望を見出した人。映画は表現の自由をテーマにした硬い内容と思われがちだが、喜怒哀楽さまざまな感情を抱く作品であることが観客の反応によってはじめて分かった。