100年に一度の変革期におけるマツダの電動化戦略 「意志あるフォロワーに」

――電動化も含め自動車業界は100年に一度の変革期だと言われる。マツダは2030年に25%から40%とかなり幅のある電動化目標を掲げている。やれるかどうかわからないから幅が広いのか。

マツダ 毛籠勝弘社長:
我々が一番誠実というか真面目だから、そういう表現になるのだと私は思っています。黎明期というのは、変動要素が非常に多いのです。例えば「電池の技術の進化」、「充電のインフラストラクチャー」、「消費者の好み」、「政治的な規制の思惑」で、こういったものが常に変化しています。多分正解のない時代に我々は入っていて、正解のない時代はやってみないとわからない。間違ったらすぐ直す。変化しているものに適用できるかどうか。このスピード・アジリティ(敏捷性)というのがスモールプレイヤーほど求められるかなと思っています。

――大きい会社やフロントランナーだと、とりあえずやってみようかということがあらゆることに対してできるが、そうではない会社は全部やるわけにいかない。

マツダ 毛籠勝弘社長:
我々は電動化は着々と進めているのですが、バッテリーEVだけはものすごくリソースがたくさんかかり、ボラティリティ(価格変動)が高いものなので、意志あるフォロワーの戦略でいくよと言っています。

――「意志あるフォロワーでありたい」の意味するところは何か。

マツダ 毛籠勝弘社長:
バッテリーEVに関しては規制でやらなければならないところと、お客様が実際に買われるというところに私は大きなギャップが存在していると思っています。やはりお客様に選んでいただけるものをベースとして考えると、おそらくフロントランナーが考えているような形にはならない。我々は意志を持って、技術、量産の準備をしていきたいというのが意志あるフォロワーの考え方です。

――営業やマーケティングの経験が長い毛籠さんから見て、顧客のニーズとの間に乖離があるということか。

マツダ 毛籠勝弘社長:
まだバッテリーEVは値段も高いです。大衆に普及するようなものにもなっていません。一例で言うと、我々CX-80という大きなSUVがあって、アメリカに今年導入しました。プラグインハイブリッドを持っています。どんどんテスラのお客さんがそれに乗り換えてきているという現象が起きている。

――100%EVのテスラからマツダのPHVに乗り換えている?

マツダ 毛籠勝弘社長:
一つのソリューションに決め打ちするということは、お客様の選択の自由を奪いかねないと考えるので、我々としては持っているマルチのソリューションを、できるだけお客様のライフスタイルに合うようにパッケージングしてお届けしたいなと思っています。

――100年に一度の変革期を勝ち残っていくための最大の条件は何か。

マツダ 毛籠勝弘社長:
やはりお客様にフォーカスをする。変化にアジャイル(機敏)に対応する。そこに尽きるのかなと思います。

(BS-TBS『Bizスクエア』 12月16日放送より)