FRB(米連邦準備制度理事会)は3会合連続で利上げを見送った。2024年は3回利下げするという見通しも示され、ダウ平均株価は連日最高値を更新した。

利下げは24年5月あたりからか 日銀の金融政策修正にも影響

FRBは12月13日に会合を開き、5.5%を上限とする政策金利を据え置くことを決めた。物価上昇の勢いが減速傾向にあるためで、3会合連続での据え置きだ。24年末の政策金利は4.6%になるとの見通しを示し、3回の利下げを行う可能性を示唆した。

これを受け、市場はすぐに反応した。13日のニューヨーク株式市場のダウ平均株価は前日に比べて512ドル値上がりし、史上初めて3万7000ドルを突破。その後も連日最高値を更新した。

ニューヨーク外国為替市場では日米の金利差縮小が意識されて、一時、1ドル140円台後半を付けた。

三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏:
インフレ率が1%下がったらアメリカの政策金利も1%下げますが、実質金利はプラスの状態がキープされているのなら、名目で見たドル金利の魅力は下がるけれども、実質ベースで見るとドル金利の魅力はあまり下がらないという珍しいタイプの利下げになる。だから極端にドルが売り込まれるということにもならなかった。24年前半のどこかでアメリカが利下げを始めれば、140円台はキープできなくなって130円台にはしっかり下がると思います。

番組コメンテーターで東短リサーチ社長の加藤出氏は物価の安定を最優先にしてきたFRBのスタンスに変化が出てきたと言う。

東短リサーチ代表取締役 チーフエコノミスト 加藤出氏:
「雇用の最大化」と「物価の安定」の二つをイコールで重視していく本来のスタンスに戻るという説明をしています。インフレ率はまだFRBの目標より高いのですが、これが順調に下がっていくのを見ながら、経済がリセッションにならないようにバランスをとっていくフェーズに入ったのが今回の一番注目されるところ。ある程度ソフトランディングに向けて今流れができてきているという認識ではあるのでしょう。

利下げのタイミングはいつになるのだろうか?

東短リサーチ代表取締役 加藤出氏:
FRBが今回示したのは利下げ幅0.75%。0.25%で3回分だとすると3月からという話ではなく、現状では5月あたりからと予想します。

また、今回の決定が日銀の金融政策の修正にも影響を与えると言う。

東短リサーチ代表取締役 加藤出氏:
マイナス金利解除を4月とかまで引っ張っていくと、マイナス金利解除自体もちょっと怪しくなるし、そこから先の利上げの可能性は相当低下してしまいます。慎重でいると、政策を正常化するチャンスがなくなってしまうということを意識はし始めている。

パウエル議長は利下げの時期について議論を始めたとまで言った。

併せて発表されたFRBの経済見通しに注目が集まっている。FOMC(米連邦公開市場委員会)参加者による経済見通しでは、2024年末の政策金利は4.6%となっている。通常の利下げ幅は0.25%のため、今の金利水準から3回下げることになる。背景となったのが、物価上昇の勢いが減速傾向にあることだ。物価上昇率は23年、24年ともに下方修正されている。

――市場では24年3月には利下げに転じるのではないかという見方まで出てきている。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
アメリカは70年代に市場との対話がうまくいかなくて、市場が利下げしろということで下げてしまった。それでまたインフレが戻って経済が混乱した時期があって、それもあってパウエル議長は相当慎重だったと思うのですが、ここまで踏み込む発言をするようになってきたというのは相当自信があるのだろうなと。