アメリカ軍の普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、辺野古沖の軟弱地盤の工事を国が沖縄県にかわって承認できる「代執行」に向けた裁判。12月20日に福岡高裁那覇支部は、国の主張を認め、県に承認を命じる判決を言い渡しました。
沖縄防衛局は判決が出る前から、工事に向けた640億円もの契約を企業と終えていて、これまで県が「不承認」としていた大浦湾側の埋め立て工事は、一気に進むと見られています。
県と国が主張してきた、双方の「公益性」
地方自治法では代執行に向けた手続きを進める条件として▽都道府県知事に法定受託事務の法令違反があった▽代執行以外の方法での是正が困難▽著しく公益を害することが明らかであることの3つが示されています。
今回の裁判で国は、辺野古沖の埋め立て工事について「普天間基地の危険性の除去が喫緊の課題」とし「極めて公益性が高い」と主張し、工事が進まないことで日米間の信頼関係や外交・防衛上の不利益が生じるとしています。
一方の県は、知事選挙で「辺野古移設反対を掲げる知事が当選した」ことや「移設反対が多数を占めた県民投票で示された民意」こそが公益性だと主張していました。
国による代執行訴訟は前翁長雄志知事時代の2015年以来2回目になります。当時は翌2016年に「円満解決に向けて国と県双方が協議を継続する」とした和解案を県、国ともに受け入れましたが、その後、協議の場は設けられず、対立状態は続いていました。
今回の判決で国の主張が認められ、今後は大浦湾側の埋め立てが始まることとなります。
国は早急に大浦湾側の工事を再開したい考えで、近く、埋め立て区域の外枠にあたる護岸の工事を再開させる方針です。