キャリアの段階で異なる居場所感 もし居場所感が下がったとしても
──となると、会社との関係性は居場所のある・なしに影響を与えているんですね。
「居場所のある・なしは、キャリアの段階によっても影響するものが変わります。
学校を卒業して会社に入ったばかりのキャリアの初期は、必死に働いてるため、『居場所のある・なしといったことは考えたことがない』という人が多かったです。
そこからキャリアを歩んで中期になると、自分らしい働き方、自分の経験を生かした働き方も大切になり、それを実感できないと、居場所がないという感覚になっていきます。評価はされても、やりがいを感じられない状態になり、『この仕事、意味あるの』『ここにいていいのかな、ここじゃないかもしれない』となることも。自分の仕事に向き合う時期だからこそ、仕事に対する意識が居場所感にも影響を与えることになります。
キャリア後期になると、会社のため・人のため・世のために役立ちたい、より自分の経験を生かしたいと思うようになる。そういった思いがある中で、会社に貢献できていない、貢献できるような仕事をさせてもらえていないと思うと、居場所がないとなってしまいます」
──となると、現在、職場で居場所があると思っている人でも、キャリアを歩む中で居場所がなくなることもあるということですか?
「今、職業人生は40年間かもっと長いですよね。その中で、居場所があるかどうかを指す『居場所感』は上がったり下がったりすることがあることが、40代後半から50代の人に『働き始めた20代からの職業人生』を振り返ってもらった調査結果で分かりました」
──その上下は、想像するだけで辛いです。どうにかなりませんか?
「居場所感が一度下がって上がるという経験をすると、下がっても上げられるという知恵につながると思います。そうするとポジティブになれるし、次に下がったとしても『こうすれば私は大丈夫』という考えになれるかと。また、下がった時は、苦しい状態ではありますが、その時に『自分はどんな職業生活を送りたいのか』などの内省をして自己理解が深まると、自ら居場所を作っていこう、自分に合う居場所を選んでいこうという考え方にもなります」

















