Q.ドジャースファンは熱狂的と聞きますが、エンゼルスファンとの違いはありますか?
斎藤氏:何がと言われるとなかなか答えづらいんですが、やはりこれはあると思います。ただ彼はこれまでもファンを大事にしてきて、非常にエンゼルスに対しての愛着もあって、多分最後の最後までドジャースとエンゼルスで僕は迷ったと勝手な個人的な意見としては思ってるんですね。そういった意味では、誰も大谷翔平選手に対してエンゼルスファンが、なんだよっていうことにはならないんじゃないかなと思いますけどね。
Q.斎藤さんは(大谷選手が)その二つ(エンゼルスとドジャース)で迷ったと予想?
斎藤氏:二刀流を完成させてくれた球団というエンゼルスに対する思いと、やっぱり人はこれは大谷翔平選手じゃなくても、あれだけ長い時間在籍するとですね、愛着というか、そういうものが湧いてきますから、これに関してはもう理屈じゃない部分があったと思います。住んでるところから球場に通ったり、様々なこういうルーティンが自分の体の中に染みついてるのは間違いないので、本来であればそういった環境を変えたくないというのは本音として実は持っていたんじゃないかなと、勝手にもう憶測は超えませんけど、察するにあまりあるかなという気はしますね。
Q.ブルージェイズという球団も出てきてましたけど・・・
斎藤氏:僕の勝手な想像ですけど、多分ゼロだと思いますね。ブルージェイズになるという予定は、僕の中ではその選択はなかったんじゃないかなという気がしてます。
Q.メディアの対応も違うと思いますけど、そこに対してはいかがですか。
斎藤氏:彼はとてもそういった部分に関しても上手に対応するプレイヤーのひとりだと思うんですね。本当に上手にメディアとの関係を保ててるプレーヤーだと思うので、時間とか、それからタイミングとか、これはもう球団スタッフがしっかりとしたフォローをしてさえくれれば、彼自身が質問に対して、何か迷ったり何か大変な思いをするというのは考えられないですね。唯一あるとすれば、今回その肘の状態がどれぐらい今後良くなって、どのような形でこのリハビリを経ながら復帰へ向かっていくのかっていうところの部分は、球団は慎重にいかなければいけないんではないかと思っていますが、心配はむしろそれぐらいかなと思います。
Q.球団から「メディア対応しなさい」というのがエンゼルスはあまりなかったと思いますが、ドジャースはそういった「メディア対応してくれ」とか、そういう依頼とかはあるんですか?
斎藤氏:エンゼルスの全てを知っているわけでもありませんし、現状のドジャースのそういった対応を知っているわけではないので非常に難しいですが、最初のうちはやはり数は増えるでしょうね。むしろそこはネズ・バレロという優秀なエージェントがいますから、彼と大谷選手の間の中で、球団との話をしっかり持ちながら、自分でコントロールできる範囲をしっかり見極めながら対応していくことが重要かなと思いますけどね。
Q.契約時にそういう話を組み込んである?
斎藤氏:僕はまだその段階でそういうディテールの方までは、いってないと思います。本当に大きなところで、純粋に悩んでたんではないかなと思いますね。これから、そういった細かい部分を多分通訳の水原一平さんも含めながら、本当に細かく、彼の野球の時間に邪魔にならないような対応の仕方を全員で考えていくんではないかと思われますね。
Q.代理人ネズ・バレロはどんな方ですか?
斎藤氏:本当にハリウッドスターになりそうな男前なエージェントなんですが、彼はマイナーで野球を経験してます。彼の一番最初の日本人選手が僕なんですけども本当に気さくで、選手に寄り添ってくれて、選手の希望を可能な限り叶えてくれる。僕にとっては自分の夢を限りなく叶えてくれた、近づけてくれた恩人。僕がオーダーをかけてたのは唯一、「ワールドチャンピオンになりたいんだ」、「ワールドチャンピオンになるためのチームを選んでほしい」と。ドジャースを3年プレーしていましたが、そこから離れるときにはいつもネズにそのオーダーをかけてたんですが、彼はいつもそういうチームを探して来てくれたので。7年メジャーでプレーさせていただいたんですけれども、5回プレーオフに入れてるんですね。それはもうチームメイトにも恵まれましたが、やっぱり優秀なエージェントに恵まれた、ネズ・バレロっていう人と出会えたことが僕にとっては非常に大きな一つです。

Q.最後にドジャースを経験した斎藤さんだからこそ、大谷選手に送れるアドバイスは?
斎藤氏:いやもう僕から彼に贈る言葉なんて僕の中にはないですけれども、ただ、やっぱり今までもそうだったようにこれからもどんな状況であっても、ただただ自分が信じる野球を楽しんで欲しいっていうのは、これはずっと変わらずに彼に持ち続けてほしい。その思いを我々日本人ファンも含めた野球ファンに見せつけてくれたらいいなと僕は思ってます。
■斎藤隆(さいとう・たかし)
1970年2月14日生まれ。右投げ左打ち。投手。東北高~東北福祉大。1991年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ(現:横浜DeNAベイスターズ)に入団。ドジャースとマイナー契約を結び、2006年から08年までプレー。その後は、レッドソックス、ブレーブスなどメジャー4球団に在籍し、クローザーとして活躍した。2012年には楽天と1年契約を結び、8年ぶりに日本球界に復帰するも、2015年に現役引退。引退後は、ヤクルトやDeNAでコーチを務めてた。