■第107回日本陸上競技選手権大会・男子10000m(10日、東京・国立競技場)
来年開催のパリ五輪の代表選手選考を兼ねる男女10000m日本選手権が10日、国立競技場で行われ、男子は塩尻和也(27、富士通)が27分09秒80の日本新記録をマークして優勝。これまでの相澤晃の記録(27分18秒75)を9秒近く更新するも、参加標準記録の27分00秒を切れずパリ五輪代表内定は持ち越しとなった。
優勝して参加標準記録を突破すれば即時内定となる今大会。しかし、参加標準記録の27分00秒は日本記録(27分18秒75)を上回り、世界の記録でも4位に相当する厳しい設定に。
レースは序盤、オープン参加となったシトニック キプロノ(22、黒崎播磨)が引っ張り、伊藤達彦(25、Honda)、清水歓太(27、SUBARU)、田澤廉(23、トヨタ自動車)が続いた。日本記録保持者の相澤晃(26、旭化成)は先頭集団の中団に控えた。
3000m付近で日本記録で同じペースで進み、縦長の展開となったが各選手が自分のペースをしっかりキープしていた。残り13周に入って先頭集団は10人、レースを引っ張るシトニック キプロノの後ろに清水が付く展開で日本記録をキープした。
残り11周に入ると田澤、太田智樹(26、トヨタ自動車)のトヨタ自動車の2人が2番手に上がってきた。相澤、塩尻もその後ろについて勝負の仕掛けどころを伺っていた。
残り4周で田澤のスピードが落ちて先頭集団から離れた。9000m付近でシトニック キプロノがスパートをかけると塩尻がついていった。レース序盤は中団で力を貯めていた塩尻がラスト1周で先頭に立つとさらにペースアップ。日本記録を更新する27分09秒80で優勝した。
レース後は「日本記録で優勝は目標だった」と語り「終盤までは先頭について走り、8000mで前に出れたのが良かった」とプラン通りのレース展開で勝ちきり、満足そうな表情を見せた。今大会は2位の太田、3位の相澤も日本記録を上回るタイムを叩き出し、ハイレベルなレースとなった。
【男子10000m日本選手権結果】
優勝:塩尻和也 27分09秒80 日本新記録
2位:太田智樹 27分12秒53 日本新記録
3位:相澤晃 27分13秒04 日本新記録
4位:田澤廉 27分22秒31
5位:小林歩 27分28秒13