◆学校単位の飼育は果たして現実的なのか?

ウサギの譲渡会


「お顔を見せて!かわいいね」と訪問者の顔がほころんでいたのは「ウサギ譲渡会」。今年11月26日、久留米市でネコの譲渡会会場の一角を借りて開かれたものだ。新しい飼い主を待つのは、多頭飼育崩壊の起きた小学校から預かったウサギたちだ。

保護団体・江頭さん「足を負傷しています。学校でけがをして、そのまま関節が固まってしまったのだと思います」

ウサギの飼育相談を受ける愛護団体「リバティ」の代表は、現在の学校の環境では「適切な飼育は難しい」と感じている。

藤田敦子代表「ウサギは弱みを隠す生き物なので、体調が悪いと思った時は手遅れのこともあります。ちゃんと生態を勉強して飼育しなければなりません。死んだ時は寿命と片づけるのではなく、“なぜ死んだか”を子供たちが勉強しなければ、そこにウサギがいる意味はないと思います」

生命の尊さを学ぶための動物飼育。ことウサギについては、きめ細かな温度管理のための予算、休日の餌やりや長期休みの世話のための人員も欠かせない。果たして、多くの学校でそれができているのだろうか、と江頭さんは懸念する。実態として満足に飼育できないのであれば、希望する飼い主に譲渡することも提案している。

傷ついたウサギ(リバティ提供)

痩せ細り糞便だらけ、奇形、飼育崩壊…。『児童の夢が広がり、多様な活動が生まれる(学習指導要領解説)』はずだったウサギ。そのような理想とはかけ離れた劣悪な環境に置かれ、悲惨な姿で保護されたウサギたちは、今のように学校単位でウサギを飼い続けるべきなのか一石を投じている。