一方で、当時あっせんされた赤ちゃんがどのような家庭で育ったのかについては「プライバシー保護」のため調査されてきませんでした。菊田医師が1973年に新聞紙上で自らの行為を告白して反響を呼んだ「赤ちゃんあっせん事件」から50年。佐藤さんの告白は、制度創設の影の一面を浮き彫りにする重要な証言です。
佐藤晃子さん:
「菊田先生は、幸せそうな家庭を選んで(赤ちゃんを)あっせんしていたと思いますが、実際はそうじゃない家庭もあったことを先生はご存じだったのか、あげて終わりだったのかな。医院に駆け込んできた女性たちを救っていたことは尊いことですが、称賛だけではないと思います」

佐藤さんが生まれたのは第二次ベビーブームの頃。一人っ子だった佐藤さんは、きょうだいがいないことに強いコンプレックスを持っていたと話します。