「日大の初動対応が遅すぎた」「学生が勉強とスポーツに集中できる組織体制になってほしい」

井上キャスター:
ここからは日大の組織について話を進めていきます。

一連の大麻事件で逮捕されている部員は3人です。8月25日の幹部会議の議事録によると、聞き取り内容の結果は6人が学生寮で大麻を使用、3人が学生寮以外の場所で大麻を使用していたということです。

林真理子理事長は減給処分が決定しています。酒井学長と沢田副学長は辞任が決まっています。

アメフト部の監督・コーチ、顧問などは一切、公の場に姿を現していません。そして、処分内容などについても今のところ出てきていません。これが組織としてどうなんだろうか。やはり一連の問題を見ていると、執行部同士が足の引っ張り合いをしている。そうではなくて、部全体、大学全体の構造を見直す必要があるのではないか。

他の大学と日大の何が違っていて、どの部分を変えると変わっていきうるのか。ちょっと細かい部分も教えていただけますか。

大学ジャーナリスト 石渡嶺司 氏:
他の大学であれば、学生の薬物使用の情報が出れば必ず所轄の警察署に相談します。それも薬物担当部署に。

日大の場合は顧問という方が出てきて、日大OBというだけの警察官に話をした。それが何か伝言ゲームのようになって、所轄に相談したと変わって、結果何も言わなかったと。

でも、他の大学は所轄の警察署に連絡した上で、場合によっては家宅捜索も受け入れます。ですから日大よりも他の大学の方が丁寧に対応している。だから結果的には日大と同じように部員の逮捕者が出たとしても、そこまで大ごとにはなってないわけです。

井上キャスター:
やはり初動対応が大きな違いということ?

大学ジャーナリスト 石渡 氏:
そうですね、初動対応が日本大学、特に運動部関連についてはあまりにも遅すぎたというのが率直な感想です。

ホラン千秋キャスター:
沢田副学長は大麻とみられる植物片が寮から見つかったときも、「もしこれが違法薬物であるなら学生に自首をさせたい」という思いを話していて、その学生のことを思ってということなのかもしれないですけれども、日大の対応というのが一つ一つ全部裏目に出てしまっている感じがありますよね。

大学ジャーナリスト 石渡 氏:
元検事で薬物事件に詳しかった。だから自分が捜査しているという勘違いといいますか、そういった思いだったのでしょうけれども、やはりもう検事という職を退かれて民間人なわけですから、薬物とおぼしきものが出てきた時点で、すぐにでも警察に連絡するべきだったと私は思います。

慶応義塾大学 田中ウルヴェ京 特任准教授:
今回の問題は組織体制と、そしてそのリスクマネジメントのあり方が根本原因だと思っています。だからこそ廃部っていうのは因果関係がないと思っていて。なので、廃部というところにちょっと突飛な発想だと今回感じていることです。

私自身は文理学部体育学科っていう日大の卒業生です。もちろんそのときの大げさな言い方ですが、この4年間に人生をかけてスポーツをやった人間でもあります。アメフトをし、そして勉強をしっかりするということが4年間やれること、学生がやれることです。そこにしっかり集中できるような組織体制になってほしいなというのは一番思うことです。

井上キャスター:
どうしても部活動が突然再開されたり、突然今回のように廃部になったり、その経緯がよくわからない。結局大人が体裁を整えるためなんじゃないか。そのためだけなんじゃないかと見えてしまうというところが根本的な原因なのかもしれません。