キャンプ場にレンジャー クマと人間が共存するための工夫

まず徹底しているのが、キャンプ場での食べ物の管理。ヨセミテのキャンプ場は予約が困難なほど、人気があります。


各キャンプ場に完備されているのが、「ベアーボックス」と呼ばれるロッカー。食べ物や化粧品など匂いがあってクマをおびきよせてしまうものは、テント内ではなくこの鍵のかかるロッカーに入れておくのがルール。テントだけではなく、車の中に置いておくこともダメ。クマが車を壊して漁ってしまうこともあるためです。


ヨセミテは全米屈指のトレッキングルート、340キロも歩くジョン・ミューア・トレイルの起点でもあるのですが、こうしたトレッキングのときもベアー・キャニスター(通称「クマ缶」)を携行し、食べ物など匂いのするものをこの缶に入れておくことがルールになっています。

さらにクマを監視するレンジャー、いわばクマ特捜隊もいます。キャンプ場近くでクマの出没情報があると現地に向かい、一定の距離を保ちながら見張ってトラブルを防止。近づきすぎたときには、音などを使ってクマを遠くに誘導します。

また2014年からは一部のクマにGPS付きの首輪やチップを付けて、居場所をほぼリアルタイムで確認するという活動も始めています。

元来、森に棲み木の実や昆虫を食べてきたアメリカグマ。番組でも、木の上でリンゴを食べているアメリカグマを撮影できたことがあります。

その木の下には、クマがリンゴを落とすのを待っているシカの群れがいました。