
クラハシがシロギスに着目するきっかけになった人が尾道市にいます。福山大学の 有瀧真人 教授です。有瀧教授がシロギスの養殖を始めたのは8年前からですが、当初は全くその気はなかったようです。
福山大学 有瀧真人 教授
「もともと養殖をするっていうつもりは全くなくて、学生の実験材料としてシロギスを導入して実験をしていたのですけれど、ところが飼ってみたら、1年半で20センチを超えてきたということで、これだったら養殖にも使えるかなということで始まったんです」
クラハシは養殖事業に適当な魚を検討していたところ、シロギスの養殖を手がけていた有瀧教授を知ることとなり、2018年から技術指導を受けるようになりました。
ただ、有瀧教授は福山大学で行う養殖では特別なことはしていないといいます。
有瀧真人 教授
「加温もしないし、特別な何か装置をつくるわけでもなくて」

クラハシは、沖縄県の最北端の村・伊平屋村(いへやそん)で養殖事業を展開しています。
地元漁協から容量50トンの水槽を3基借りて、そこへ因島などで取れたシロギスを入れ養殖を始めました。いまでは12基になっています。
シロギスが泳ぐ沖縄の海の水は、水温が18℃以上で、シロギスにとってはプラスの要素に働きます。有瀧教授は沖縄での事業展開に太鼓判を押しています。
有瀧真人 教授
― シロギスはどの時期が良く伸びる?
「夏場です。水温が15℃以上ないと、えさを食べないんですよ。12月、それから4月の初旬くらいまでは水温がすごく低くなりますから、その期間は成長が止まってしまう。クラハシさんが今やっている沖縄の水温ってのが常に18℃以上あります。瀬戸内海で育てるよりもまた1.5倍くらい成長が早いんですよね」
しかし、メリットばかりというわけではありませんでした。2019年からクラハシは沖縄での養殖事業を始めましたが、当初はなかなかうまくいくことがありませんでした。
倉橋彩子 専務
「夏場は養殖場内が40℃を超えたりするんです。そうすると水温自体が28℃以上の30℃の、非常に仔魚(しぎょ・赤ちゃんの魚)にとっては生存するのに非常に厳しい環境だったんだろうと」