ことしはクマの出没や人身被害が相次ぎ富山県内では、これまでに人里に下りてきて危険と判断したクマ90頭が駆除されました。クマの対応に追われる一方、県に対してクマの駆除に関する批判の電話が殺到し、業務に支障もでているといいます。
富山県自然保護課職員:「クマがかわいそうでありますとか、クマの生息環境を整えればクマは出てこないはずだと。毎日数件、10月には1日10件超えた日もありました」


こう話すのはクマの対応を業務とする富山県自然保護課の職員です。全国でクマによる人身被害が過去最多を更新する中、富山県内では15日までにクマによる人身被害が7人、うち1人が死亡しています。


今シーズンは、エサが不足し平野部でもクマの出没や目撃が相次いでいて、これまでに人里に下りてきたおよそ90頭のクマが駆除されたということです。
富山県によりますとクマの駆除に関する電話は先月から寄せられていて、このうち7割ほどが「苦情」や「批判」だということです。


中には、県外からの電話もあり、「かわいそう」「殺さないで」など30分以上に渡って繰り返す人もいるといて、業務に支障が出ているといいます。
富山県自然保護課職員:「人身被害が起きないために捕獲・駆除という対応を行っています。ただですね、やみくもに捕獲・駆除をするのではなくて県でもっているツキノワグマ管理計画に基づいて捕獲上限数を定めているので、クマが富山県からいなくなる状況は作らない。ある程度、保護という観点をもって計画を実施しているところです」


富山県や猟友会は、人里に下りてきたクマは山に戻しても再び戻ってくる可能性が高いため駆除せざるをえないと理解を求めるとともに今後も各市町村と連携し、クマが里山に下りてこないよう共生に努めたいとしています。

