大変でも退団できない、夢を手放せない“狭き門”ゆえのジレンマ

日比キャスター:
そして厳しい上下関係について、遺族側は背景として一つの要因だったといっているわけですけれども、タカラジェンヌになるまでの道のりもみていきます。

宝塚音楽学校は2年間です。毎年40人の合格者が出ています。歌であったり演劇であったり、礼儀などさまざまなルールについても学んでいき、その後、歌劇団に所属するということになるわけです。

生徒手帳には「上級生、下級生とは縦の絆、同級生とは横の絆」とも書かれています。こういった考えが、代々と受け継がれているということになるわけですね。

元劇団員の母親によりますと「上級生が言う事は“絶対”。(パワハラは)宝塚の世界では指導。(劇団員の自殺は)いつ起きても不思議じゃなかった」と話しています。

このような精神的な負担についてですけれども、長時間の労働もありましたが、会見ではこのように話されていました。「精神障害を引き起こしても不思議でない程度の心理的負荷となった可能性も否定できない」

ホランキャスター:
松田さん。宝塚歌劇団に入るのは本当に狭き門で、そこの夢をつかみきれない方もいらっしゃるなかで、やはりその門をくぐれたからには、ずっと追求していきたい。大変な状況になってしまっても、ここから退団してしまったら夢も手放さなくてはならないという、強烈なジレンマもあったと思うんですよね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
情報として上がっている1日3時間の睡眠であるとか、1か月間休みがないというのは、遥かに常識を逸した働き方だと思います。

だけれどもそこから逃げ出せなかったというのは、やはり子どものころからの憧れだったり、そこまでサポートしてくれた、応援してくれた人への思いというものもあったでしょう。

家庭内暴力でもなかなか外にいえないということがあり、そういう状況に近いのかなと思いますけれども、やはり自分の命あってこそですから、とにかく苦しかったら誰かに助けを求めるというアクションを起こしてほしいなと思いますね。

ホランキャスター:
河西さん。その環境がなかったという部分が非常に悔やまれますけれども、「精神障害を引き起こしても不思議でない程度の心理的負荷となった可能性」、長時間活動を否定できないということで…。

レイ法律事務所 河西邦剛 弁護士:
断定はしていない、というところですよね。このあたり今後どうなっていくか、さまざまな展開が遺族側と劇団側でありえますので、断定は避けたのかなと思います。

日比キャスター:
「日本いのちの電話」というものがあります。何か今悩んでいることがある方は、厚生労働省のホームページなどでも相談窓口が紹介されています。

<相談窓口>
【日本いのちの電話】
・フリーダイヤル 0120-783-556
         毎日:午後4時~午後9時
         毎月10日:午前8時~翌日午前8時

・ナビダイヤル 0570-783-556
        午前10時~午後10時