発達障がいの可能性がある小中学生は通常学級に11人に1人程度いるとされています。実はこうした子どもの中には“散髪が怖い”という子どもが大勢います。そんな彼らに寄り添おうとする美容師とある男の子の1年を追いました。
“散髪怖い”に寄り添う美容師

京都市伏見区にある美容室「Peace of Hair」オーナーの赤松隆滋さん(49)。近所の客以外に、この店には遠くから特性のある子どもたちも集まる。

男の子「髪の毛チョキチョキしないチョキチョキしないよー」
散髪を嫌がる男の子。発達障がいがある。
赤松さん「一緒に見ようよ、赤松さんもここ座るし、一緒に座って」
初めての場所が不安になったり、同じ場所にじっとしていられなかったり、音や肌に触れる感覚の過敏だったり。彼らの多くは散髪が苦手だ。

赤松さんは配慮が必要な子どもたちの散髪を「スマイルカット」と名付け、13年前から取り組んできた。
男の子の母親
「ほかの美容室は1回パニックを起こしたら『もううちは無理です』と断る、だからこっちも気をつかって行きづらくなる」
男の子「髪の毛チョキチョキ切ってありがとうございました」
彼らは予期せぬことへの対応が苦手で、急に頭を触られるとパニックになることもある。

そこで、次に何が起きるかを知らせるために、前もって段取りを伝えるイラストを使い、少しでも不安を取り除けるようにしている。これまでに髪を切った子どもは6300人以上にのぼる。

赤松さん
「自閉症だからこのやり方がいいとか、ある程度のやり方はあるけど、ひとりひとり特性が違いますし、障がいだけでなく性格も違うわけで。やり方っていうのは100人いたら100通りぐらい違いますね」