世界最大の原発

そこは関係者から「KK」と呼ばれている。

新潟県のほぼ中央、日本海側に位置する柏崎刈羽原子力発電所。

やや長いその名称は「柏崎市」と「刈羽村」にまたがって立地していることが由来している。1~4号機は柏崎市、5~7号機は刈羽村にあり、敷地の7割が柏崎市側だ。

今年1月時点で、世界で原発を運転中の国は33か国、原子炉数は431基に上る(出典「日本原子力産業協会」)。この中で、柏崎刈羽原発全基の総電気出力は821.2万kW。これは世界最大だ。

しかし、東日本大震災や新潟県中越沖地震をきっかけに、11年以上停止状態が続いている。

メディア向けの視察会を開催 理解を深めたいとする東電

今年11月、エネルギー分野を担当する記者を対象に、東電は柏崎刈羽原発の視察会を開いた。「まずは現状を知って理解を深めていただきたい」。今回の目的を東電はこう説明した。

今回、東電が視察会で、何度も何度もアピールしたのは、その安全面の取り組みだ。

まず、今回の視察会では撮影は厳しく制限。写真の画角などにチェックが入る。テロ対策などのため、映ってはいけないものがあらゆる場所にあるためだという。

撮影した画像をチェックする東電担当者

「〇〇です」。毎朝、従業員が氏名を名乗り、IDカードを顔の真横につけて警備員による本人確認を受ける。少なくとも視察会の際は、流れ作業ではなく、1人1人をしっかり確認していた。

その次は、生体認証システムによるチェックを受けなければならない。建屋に入るまでにはこうしたいくつものチェックが行われる。説明通り、セキュリティは厳重のようだ。

入念な本人確認を行うワケ。それは664社に上る、協力企業の多さだ。

この敷地で働く従業員は約5500人(今年10月時点)。そのうち約4300人以上が協力企業の従業員で、別々の664の企業から来ている。

「どこの会社の〇〇か」敷地内は多くの人がいて、停止中の原発とは思えないほど人が行き来しており、本人確認が欠かせないという。