「安全対策」を強調し再稼働まで「もう1歩」だという東電

東電が厳重さをアピールするのは入口の本人確認だけではない。
安全管理の本丸である防潮堤もその一つだ。

東日本大震災による福島第一原発事故の教訓により、2013年までに海抜約15mの防潮堤を新設。日本海側の柏崎刈羽原発に押し寄せる津波の高さは、想定では7~8mのため、東電担当者は「オーバースペックなくらいだ」と自信を示す。

海抜15mの防波堤

「海外ではこうした冷却手段を複数の原発でシェアしていることが多い。しかし日本では各原発で配置することになっている」。もう一つ、東電担当者が胸を張るのは、原子炉などを冷却するのに使うポンプ車の数。敷地に配置されているポンプ車は38台にものぼる。水源となる約2万トンの貯水池もある。

約2万トンの貯水池
ポンプ車など

「毎回これを開け閉めしないといけないので大変だ」。さらに、東電担当者がルールを徹底していると強調したのは扉だ。原子炉建屋のなかに水が浸水した場合を想定し、重要な機器がある部屋の扉は水密扉化。扉は非常に重いが、一定時間開けっ放しにすると警報がなる。頻繁に出入りする部屋でも、基本的には一回一回閉めないといけない。

水密扉(提供「東京電力ホールディングス」)

東電側が繰り返した安全アピール。防災対策の徹底ぶりを報道陣に公開することで、柏崎刈羽原発の再稼働への理解を深めたい狙いがある。

原子炉格納容器への入り口
原子炉圧力容器の周辺