視覚障害者を支える“AIスーツケース” 障害物もスムーズに避けて歩行

こうした視覚障害者をサポートする技術の開発は他にも進んでいます。
喜入キャスター「スーツケースが動きました」
AIスーツケースと呼ばれるこちら。AIとモーターが搭載されています。
視覚障害者をリードしながら目的地まで安全に案内してくれるのです。
実際にアイマスクを着用して体験してみるとーー
喜入キャスター「ちょっと減速して右に行って、今左に行って…」
障害物をスムーズによけてくれます。取り付けられたセンサーから得た情報をAIが分析し、障害物との距離や歩行者の動きなど周囲の状況を把握することができます。
そのため、目の前に突然人が現れてもブレーキをかけたり、ルートを変更したりして、街中の危険を避けながら進んでいきます。
こうしたサポート機器は、AIなどの技術の進化によって大きく変わりつつあります。
日本科学未来館 高木啓伸副館長
「今まで人でなければできなかったことを(AIが)できるようになってきた。それによって、人が自由に、自分が思うように自立して生活ができるのを手助けする。そんなことができるようになると思っています」
実は9割!点字読めない視覚障害者 便利な「アイカメラ」お値段は?

喜入キャスター:
スタジオに宮川さんが使っていたものと同じアイカメラを用意しました。100円ライターくらいの大きさで結構軽いです。
例えばハチミツのビンなんかも覚え込ませると、覚えてくれたりしますし、文章を読むことに長けているので、本も読むことができます。ただですね、これの値段は60万円ぐらいするんです。
山本 恵里伽キャスター:
そんなに安いとは言えないですよね。
喜入キャスター:
自治体によっては補助金が出るので、宮川さんの場合はこちらを10万円ほどで購入したそうです。
山本キャスター:
補助金も自治体によって違う?
喜入キャスター:
多くの自治体は40万円くらいで購入できるということです。
山本キャスター:
これはどんどん普及していきそうですか?
喜入キャスター:
私もいろんな現場でこれと同じカメラを見かけたことがあるので、普及するんじゃないかなと思う。実は視覚障害者のうち「点字ができる」という方は12.7%(厚生労働省 平成18年身体障害児・者 実態調査)というデータがその背景にあります。
山本キャスター:
1割くらいの方だけなんですね。
喜入キャスター:
私も点字の名刺を持っていますが、渡しても読むことができないという方が9割近くいるのには、かなりびっくりしました。ですからこういったカメラがあると点字が読めない方もいろんな本が読める。これまで点字だけでしか読めなかった読み物以外の雑誌なども読めるようになる。
ただ、宮川さんは「技術が進化するのはいいけれども、まず自分の五感でいろいろやってみて、その上で機械であったり、人に頼ったりする。このバランスが大事なんだ」と話をしていました。
山本キャスター:
技術に頼るだけじゃなく、人のサポートも大事だし、本人の自立も大事なわけですね。