日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」の中で、福山雅治さんが演じる全盲の捜査官・皆実が使っていた、周囲の状況を音声で教えてくれるカメラ。いまこういった視覚障害者をサポートする技術の開発が進んでいます。ドラマの世界に近づく最新技術を喜入友浩キャスターが取材しました。

資料を撮影してもきちんと「テキストが上下逆さま」と伝えてくれる

日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」で福山雅治さんが演じる全盲のFBI捜査官「皆実広見」。耳に付けた「アイカメラ」で捉えた映像を、AIが識別し、何が映っているのかを読み上げ、音声で皆実に伝えます。

そのドラマの世界に、今の技術も近づいてきています。

喜入友浩キャスター(30)
「初めまして。よろしくお願いします」

アイカメラの音声「若者があなたの前にいます」

喜入キャスター「私は若者と判断されました」

初めて見た私を「若者」と判断したこちらのカメラ。事前に顔を登録しておくと、名前を教えてくれます。

アイカメラの音声「TBS喜入さん」

普段からこのカメラを使っているのは、都内に住む宮川純さん(45)。30歳のとき糖尿病の影響で視力を失い、今は福祉関係の事務所に勤めています。

ーーお仕事ではどんなことにアイカメラを使っていますか?
宮川純さん
「ひとつは郵便物の仕分けとか、会議資料を読んだり」

アイカメラで封筒の宛名を読み込むとーー
「障害者福祉課 扱」

拡大鏡のパンフレットを読み込むとーー
「本体19万8000円、日常生活用具の拡大読書器枠を適用する場合…」

資料を読み込むとーー
「テキストが上下逆さまになっているようです…」
「内部要因による情報漏えい対策」

このカメラは、イスラエルの企業「オーカムテクノロジーズ社」が開発した「オーカムマイアイ2」。人の顔や文章などをAIが認識し、イヤホンなどを通して、音声で教えてくれます。

さらに腕時計がなくても腕を目に近づける素振りをするとーー
アイカメラの音声「時刻は14:23です」
宮川さん「楽ですよね」

腕の動きに反応してくれます。

ーー今の視力は?
宮川さん
「僕はもう全く。全盲で光を感じていないので、何も見えないです」

ーーいつ頃からこの状態ですか?
宮川さん
「ちょうど15年が経ちました」

それは宮川さんが30歳のときでした。

宮川さん
「足を大やけどして、それが原因で糖尿病のコントロールが狂ってしまって、日に日に見えなくなって、10か月後にはとうとう何も見えなくなった」
「正直言って『どうやってこれから生きていこうか』と思ったんですけど、できないことを悔やんで沈んでいてもしょうがないので、自分がいま与えられている環境の中で、できることを、1個1個しっかりやっていっています」

4年前、宮川さんは友人のすすめで、このカメラに出会いました。

ーー自分ができることの幅は広がりましたか?
「広がりますね。可能性はまだまだあると思います」