この現場からおよそ2キロほど離れたところでは、特産のユズの収穫作業が進められていました。

砺波市の特産「庄川ゆず」。皮が厚く、香りが強いのが特徴です。現在、生産者は11月11日の「庄川ゆずまつり」に間に合わせるために、急ピッチで収穫を進めています。

金屋ゆず生産組合・真田猛組合長:
「ことしはたくさん成っています、豊作と言ってもいいと思う。味はいつも通りいい香りのユズができると思う」


2023年の庄川ゆずは、4月から5月にかけ雨が少なかった影響でやや小ぶりですが、傷は少なく、品質はおおむね良好。収穫量は不作だった2022年から一転し、平年並みの8トン以上を見込んでいます。2023年の祭りでは4年ぶりに飲食ブースが設置されるなどイベントの“完全復活”へ向け生産者の期待も高まる中、クマの脅威はここにも迫っていました。

金屋ゆず生産組合・真田猛組合長:
「はしごを下りて(作業が)終わったなと思ったら、(クマが)スーッと走っていった。クマなんてここに来るのかという感じだった」


11月に入ってユズ畑周辺でクマの姿が複数確認されているのです。早朝や深夜に限らず、午後3時ごろといった収穫作業中にも寄せられています。

周辺の施設では警戒を呼びかけるチラシが張られるなど厳戒態勢に。しかし、祭りの開催が迫る中生産者からは「収穫を続けないと祭りに間に合わない」と苦悩の声が上がっています。

収穫作業をしていた生産者:
「(祭りは)毎年たくさん来ていただいているので、こちらもそれなりに提供しないとという思い。作業もしたいけど怖いです」


生産者たちは、収穫の開始時間を周囲が明るくなる午前9時ごろに遅らせたり、ラジオをかけながら作業するなどクマに注意を払いながら収穫を急いでいます。取材した組合長によりますと、このユズの生産地、庄川の金谷地区では10年以上、クマの目撃はなく、もともとユズはクマを誘引するものではないということです。