「本来の子どもたちの実態とずれてくる」学力調査の事前対策 何が問題?

石川県教職員組合は、今年4月に行われた学力調査について、県内272校の小中学校に実態調査を行い、このうち158校から回答を得ました。
その結果、全体の44%の学校で授業中や宿題、春休み期間などを利用して過去問を繰り返し解くなどの事前対策をしていたということです。

県教職員組合の谷内直執行委員長は「全国学力・学習状況“調査”であって学力“テスト”ではない。事前に詰め込みで過去問をやったりしても、それは本来の子どもたちの実態とずれてくる。それに振り回される子どもたちだけでなく教職員が授業の時間を使って対策をしている、教育課程そのものに学力調査が影響している」と、事前対策の問題点を指摘しました。

県教職員組合 谷内直執行委員長

一方、石川県教育委員会は今回の調査について、「過度な対策に関する情報は寄せられておらず、正答率上昇のみを目的とするような行き過ぎた事前対策はなかった」としています。

「県教委が言っても変わらない」事前対策が無くならない体質の根深さ…

県教育委員会は今年3月、各市町の教育委員会に向けて次のように通知しました。

「新学期の始まりにあたり、学校運営上重要な4月の授業時間を使って集中的に過去の調査問題に取り組ませるなど、調査の正答率の上昇のみを目指しているかのような誤解を招くことのないよう、4月の新学期初日から18日火曜日までの期間は過去問題や類似問題を授業や補充学習で取り扱わないこと」

一方、県教組の実態調査では
「4月中に事前対策をしないよう管理職等からの指示があったか」
という設問に全体の約6割を占める101人が「指示はなかった」と回答。

県教委から対策をしないよう働きかけがあったにも関わらず、現場レベルでは通知が届いていない状況に、谷内委員長は「普通、県の教育委員会が(対策を)しないように言ったらゼロになるはずですよ。それがならないというところに根の深さというか問題の大きさを痛感している」と苦言を呈しました。