■どうして馬術の代わりに障害物レースが?しかもSASUKEが?

南波キャスター:
今回、なぜ馬術ではなくて障害物レースになっていくのか。そしてSASUKEが選ばれてきているのかを見ていきたいと思います。
▼近代五種とは
1…水泳
2…フェンシング
3…馬術
4、5…レーザーラン(射撃・ランニング)
この5つの種目で争われていきます。非常に激しい競技で、レーザーランですと「50秒以内に5つの的を射撃して800m走って」というのを繰り返してやっていくという非常に体力を使う競技です。
生みの親が、この近代オリンピックの父と呼ばれている「クーベルタン男爵」ですが、1912年のストックホルム五輪で正式競技として採用されました。
ではクーベルタン男爵はなぜこの5種目にしたのかというところですが、1800年前後に行われた「ナポレオン戦争」というのがヒントだとも言われています。馬に乗った伝令兵「馬術」、剣と銃で敵兵を倒すフェンシング、そして泳いで走って、水泳やレーザーランというそれぞれをリンクさせるような部分があるんです。このナポレオン戦争をヒントにこの5種を選んだというふうにも言われています。
この近代五種というのは総合力が求められる競技で、ヨーロッパでは非常に高い人気を誇る「キング・オブ・スポーツ」とも言われているそうです。日本近代五種協会によると「選手には得意な種目・不得意な種目があるので大逆転もよく起こる。最後まで予想のつかないワクワク感がこの競技の魅力」だと話しています。
ただ、課題もありまして、まずは「競技時間が非常に長い」ということです。ストックホルム五輪から始まったんですが、この頃は1日1種目ずつ、当時はレーザーランは「射撃」と「ランニング」で分かれていたので5日間で行われてきたと。アトランタ大会以降は1日5種目を実施していましたが、男女ともに36人出場するので丸一日かかってしまう。

そんな中でパリ五輪では、フェンシングの予選を実施することで決勝の出場者を18人に絞って決勝の人数を減らしていった。人数を減らした上でさらに5種目を1人90分で行うというようなことも検討されている。
ただもう1つの課題は、競技人口が少ないという点です。北京五輪までは火薬銃や空気銃を使われていましたが、例えば日本で言うと銃刀法の規制があって、誰もが使えるわけではありません。そんな中でロンドン大会からは、レーザーピストルという誰でも使用ができるピストルに変わりました。
その上で、大きな問題点と今なっていたのが「馬術」。魅力のある種目なんですが、経済的な負担や練習場の確保が難しい。当然、馬を手に入れるだけではなく、飼育費もかかりますし、獣医さんも帯同しなくてはならない。例えば東京五輪の馬術の競技に出場している選手はクラウドファンディングなどで費用を捻出して、やっと出場できたという方もいたというくらいお金がかかります。ですから日本の競技人口は、約50人だといわれています。

さらに東京五輪の近代五種の馬術では馬を抽選で決めるというシステムで、ドイツのシュロイ選手の馬がジャンプを拒否して、1位だったのが31位になってしまった。そこでドイツ代表の監督がジャンプをしなかった馬を叩いてしまって、資格停止処分という問題も起きていたということです。
そんな中で、2024年のパリ五輪の後に近代五種から馬術を除外する。そして新たな種目として障害物レースが候補になっていると。馬術が除外されることは決まっていて、障害物レースに関しては今、候補という段階です。その障害物レースの内容・中身においてはSASUKEが参考にされるのではないかという状況なんですね。

















