“日本でロシアが『悪』のように言われてしまう” 岩田さんの思いは…

山本 恵里伽キャスター
「ロシアの芸術が戦争によって影響を受けている、この現状をどうみていますか?」

岩田さん
「日本でロシアが『悪』のように言われてしまいますね。チャイコフスキーもだめ。ドストエフスキーもだめ。(ロシアのバレエ団の)海外公演がない、そういうことになってしまったので。とんでもない時代ですよね、今ね。とても残念なことなので。でも現実にあることだから」

そんな時だった。
蘭黄から日本舞踊とロシアのバレエを融合させた舞台出演の打診があった。

岩田さん
「蘭黄さんが言ったのは『芸術と政治とは関係ありません。素晴らしいものは素晴らしいものであって、芸術は今こそ必要なものだ』と言って、(日露の舞台を)やりますって言ってくれたんですね。ロシア人を呼んで(公演を)やるのは勇気があることなんですね。その気持ちを聞いて、これだったら僕やりたいと思って。芸術は全てを超えて人々に感動を与えるものだということを証明したいと思って、意気込んでいるところです」

踊り続けた44年間。
岩田のバレエを支え続けた「身体」はギリギリの状態だ。

岩田さん
「足首がどうも弱くて。ここにいつも負担がくるんですね。でも、きょう終わりだから良いんです。壊れても」

舞台で満足に踊れない自分を誰にも見せたくなかった。
それが引退を決めた理由だった。

岩田さん
「(メイク道具は)ロシアのですよ、これ。壊れているけど、久しぶりですからね。ロシア人がみると、古い世代の人がみると喜びますよ。これで、おさらばです」

岩田さん「舞台へ行きましょう!」

岩田守弘、53歳。最後のステージへ。