19歳でロシアへ ボリジョイで220年の歴史上初の外国人ダンサーに

始まりは9歳のとき。
「ロシア流のバレエ」を、尊敬していた父親の影響が、大きかった。

岩田さん
「僕が憧れていいなと思ったのは、みんなロシアダンサーなんですね。男らしさとか、人間的なことに惹かれたんだと思うんだけど、僕の中ではバレエ=ロシアだった」
時代は、崩壊直前の旧ソビエト。憧れの地は、混乱していた。
19歳になった岩田は、そこに飛び込んだ。

岩田さん(1992年 当時21歳)
「水が飲みたい水が飲みたい。情けないんですけど、食べたいものが食べられなくてさ」

ロシアの名門「ボリショイ・バレエ」。
26歳のとき、岩田は、名門の扉を叩いた。
それまで、外国人を一切受け入れてこなかったボリショイが、岩田の実力を認め、入団させた。
外国人ダンサーが入団したのは、220年の歴史の中で、初めての出来事だった。

「道化」や「悪魔」といった個性豊かな役をこなした岩田。
正確無比の技術に加え、卓越した表現力で人々の心を掴んだ。
そして、作品を彩る“役者”として岩田はロシアの人々に愛された。

41歳でボリショイを退団。
その後は、ロシアと日本で舞台に立ち続けた。

ところが、2022年。ロシアが戦争を始めた。
すると、“ロシア排除”の動きが芸術の世界に広がっていった。ヨーロッパでは、三大バレエ「白鳥の湖」など上演を中止する動きもあった。














