イスラエル軍が地上侵攻に向けた準備を進めるなか、人質をとり戻すうえでカギとなるのが、ガザ地区内に張り巡らされている「地下トンネル」です。JNNは2年前に、その実態を取材していました。
“地下トンネル”どんな場所? ガザ地区に全長500㎞
須賀川拓記者:
ハマスやイスラム聖戦などの武装勢力は地下に沢山のトンネルを作っています。イスラエル側はそれらすべてを把握できていません。トンネルには司令部のほか、食料・水などの備蓄があるため、そこに人質がいることはほぼ間違いないだろうと言われています。
井上貴博キャスター:
間違いないだろうということは、わからないのですか?
須賀川記者:
わかりません。人質がいる場所をわからなくさせることによって、イスラエル側の空爆を牽制しようという意図は間違いなくあると思います。
イスラエル側としては人質を殺したくはありませんから、(人質が)どこにいるかわからないというのが一番の懸念材料になっていると思います。
井上キャスター:
イスラエル側は把握できていないと言いますが、トンネルの内部映像をYouTubeに投稿しています。なぜでしょうか。
須賀川記者:
内部映像は元々ハマスが公開したものです。それをイスラエル側が使用して「ハマスはこんなことをしている」と発信しているのです。

日比麻音子キャスター:
防衛省 防衛研究所の吉田智聡研究員によりますと、この地下トンネルは全長約500㎞にもなるそうです。東京メトロと都営地下鉄の距離を合わせても約300㎞ですから、かなり長いトンネルだということがわかります。さらに最深部は地下約70mという情報も入っています。
イギリスのBBCによりますと、ハマスに拘束されていたヨケヴェド・リフシッツさん(85)は「クモの巣の様に張り巡らされた巨大トンネルに連れて行かれた。そこに25人の人質が集められていた」と言います。
須賀川記者:
地下トンネルは非常に複雑です。ガザ地区の南部にはイスラム聖戦など他の勢力のトンネルがあるのですが、イスラエル軍側が徹底的に破壊しようとしているのがハマスの司令部があると思われる、北部エリアのトンネルです。
トンネルはかなり深いところにもあるので、トンネルの入口を破壊したとしても、内部にまで到達することはできません。そのためアメリカ側から“バンカーバスター”という「地中貫通爆弾」を提供してもらい、何とかこのトンネルを破壊しようとしているのが現状です。
日比キャスター:
トンネルはあえて複雑に作っているのでしょうか。
須賀川記者:
おそらく、複雑に作ろうという狙いよりも、長い戦いのなか、抵抗を続けて作り上げたという認識が正しいと思います。