オリンピックのアルペン・スピード系種目には、2002年大会を最後に日本の男子選手は出場していません。
アルペンスキーの世界の壁は高く、全日本選手権優勝の経験もある高橋大成さんも悩んだ末、大学卒業を機に競技から退き、新潟県内の農業法人に就職しました。

「振り返って思うと“蓋”をしていた感じがして、自分の中で諦めようとしてた」
「ボロボロになって、競技者として自分の人生を全うしたいんじゃないのか?っていう感情がずっとありました…」

高橋さんの心を再び競技へと向かわせたのは、当時、コーチとして教えていた子どもたちの存在でした。

「子どもたちが純粋に『自分はスキー選手で将来やっていきたい』と疑いもなく言っているのを聞いて…。本当に自分のやりたいことって何だろう、と見つめなおす瞬間を子どもたちがくれて、そこで『自分の人生を生きよう』と」

子どものころからの夢“オリンピック”

一度は退いた高橋大成さんですが、競技者としての再出発を誓い、さらにもう一つ、大きな決断をします。
第二の競技人生をアルペンではなく『スキークロス』に懸けることにしたのです。

「スキークロスは緩斜面で、そこに起伏とかがあってターン数もそこまで多くない…。“スーパーG”というスピード系の種目に似ている部分が多いので、もともと持ってる自分の強みを7割くらいそのままスキークロスに活かせるんじゃないかと」

初めてスキークロスのコースを滑ったのは今年2月。そして8月に行われた『オーストラリア・ニュージーランド選手権』では3位に!
ワールドカップ出場選手も参加する大会で、確かな手ごたえを感じました。

去年から始まった高橋さんの「挑戦の道」は、スポンサー探しから始まりました。
雪を求めて海外を転戦する選手にとって活動資金は必要不可欠。
スキークロスでの実績がまだないなかで、スポンサーを探すのは簡単ではありませんでした。