イスラエル寄りの「歴史的な背景」

――国連安保理の一時停戦を求める決議案は、常任理事国アメリカが拒否権を行使して否決されました。イスラエル寄りの姿勢を貫いている理由について二つ挙げてもらいました。一つ目が「歴史的な背景」、二つ目が「政治的な理由」です。

(立岩陽一郎氏)歴史的背景について、アメリカが『世界の超大国』になったのは、第二次世界大戦後です。それまでほとんど中東に関心もなければ、会議をすることもなかったわけです。我々はよく、“欧米”っていうんですけど、国際政治を語るとき欧米って言い方が非常にまずいのは、アメリカとヨーロッパでは明らかに違うんです。アメリカに関して言えば、中東にいわゆるユダヤ人国家が建設された後しか、実は関与してないんです。ヨーロッパは昔から中東に関わって、戦争や和平、そういう中でヨーロッパの中東理解は比較的冷静で、どちらかに立つこともないんですけど、「アメリカにとって中東というのは≒イスラエルだった」、圧倒的に最初からユダヤ人国家を支持するところから中東を見始めた。これはもう歴史的な事実です。

――イスラエルが攻撃を受けたときも、いち早くバイデン大統領はイスラエル寄りの発言をしました。

(立岩陽一郎氏)第二次世界大戦がアメリカを超大国にしたきっかけです。そこで彼らが何を得たか。誰もが言うのはユダヤ人を救出したことです。ナチスによるホロコーストからユダヤ人を救ったというのは、アメリカの「第2の建国」と言われる超大国としてのアイデンティティなわけです。だから、ユダヤ人が迫害されるような状況は、アメリカにとって回避しなきゃいけないってのはDNA的に埋め込まれちゃってるとも言えます。我々から見れば、パレスチナはどうなんだっていう風に思いますが、今はアメリカも冷静になっていますけれど、歴史的には元々ほとんど意識がない。