岩手県内でクマに人が襲われる件数が過去最多となっています。19日は八幡平市の山林でキノコ採り中の高齢の夫婦が襲われ、妻が死亡しました。クマと遭遇した時に気を付けるべきことを専門家に聞きました。
クマに襲われて亡くなったのは、秋田県鹿角市の無職・根本愉子さん(75)です。根本さんは19日、夫の長久さん(79)とキノコ採りに訪れていたところをクマに襲われました。助けようとした長久さんも襲われ重傷です。
岩手県内はクマによる人身被害が増えていて、今年度のクマによる人身被害は19日で35件に上ります。最も多かった2020年度の27件をすでに上回り、過去最多となっています。
今年8月には一戸町の山林でもクマに襲われた80代の女性が死亡していて、クマに襲われた人が亡くなるのは今年に入って2件目です。
県内でクマによる人身被害が増加している背景を、岩手大学でクマの生態を研究している山内貴義准教授に聞きました。
(岩手大学農学部 山内貴義 准教授)
「野生動物全般の生息域が山から人里に全体的にシフトしているところがあるので、人間をあまり怖がらなくなった個体が若干増えてきていて、人身事故につながる確率が全体的に高くなっている」

山内准教授によりますと、今年はクマの餌になるブナの実が不作となっていて、冬眠前の活発な時期と重なってクマの行動範囲が人里まで広がっているといいます。

万が一クマと遭遇した場合はどうすればよいのでしょうか。
(山内准教授)
「森があるところには岩手県の場合クマがいると考えていただいて間違いないので、なるべく森には今の時期近づかないようにするというのと、山の中に入る場合はしっかりとした準備をしてもらって、行政や警察の情報を収集して十分注意して行動していただきたいと考えています」
また、
・走って逃げないこと
・大声を出さないこと
・慌てずに距離を取ること
が効果的だといいます。
さらに山内准教授は山に入る際はクマ鈴やクマよけスプレーなどを持って入るよう呼び掛けています。
岩手県によりますと記録が残る1979年以降、1年の間に複数の人がクマに襲われて亡くなるのは初めてです。