“軽度・ボーダーライン”の人が危うい
「刑を軽くしてほしいという話ではなく、彼女たちの状況を分かった上で判決を下して欲しい、分かってもらいたいということです。そして再発防止。証言するのには、そういった意味もあります」

「赤ちゃんポスト」を設置した産婦人科医の蓮田医師。裁判のあと取材に応じ、法廷に立った理由を語った。
どこにでも潜む「孤立出産」のリスク。
「知的障がい・発達障がいというのは、例えば重度のものであれば、小さい頃から周囲が理解してケアをしてくれるので、そこまで生き辛さは感じないだろうし、相談だってできる訳です。軽度・ボーダーラインの人というのが危うい。親も先生も友だちも分かってないから、いじめの対象にすらなり得る。それがネガティブ体験として積み重り、相談もできなくなり、自己肯定感も低くなる。本人もそれに気付かない」
蓮田医師は「孤立出産」は決して特別な出来事では無く、社会に受け入れる寛容さが必要と話した。
「当然ながら、愛媛も孤立妊娠の女性と無縁であるわけではない、見えていないだけです。実際に『匿名で出産したい』と愛媛から訪れた女性もいました。今回のような事件が起こると、一時的には社会の耳目を集めますが、その後、風化し、対策が取られないまま、また次の事件が起きる。この機会に、妊娠相談窓口などの必要性を考えて欲しい。そして、愛媛に頼れる施設を作っていただきたい」
「本来赤ちゃんは、祝福されて、望まれて生まれてくるもの。例えば内密出産も、社会に許容できる雰囲気が作られ、広がり、ひとつの手段となって、赤ちゃんの幸せに繋がれば」
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